1975年(昭和50年)に誕生した制度で、「一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会」が実施する試験に合格して高度の技術・技法を保持すると認定された技術者。経済産業大臣が指定した伝統的工芸品を製造するための技術や技法の研さんに努力し、その技を後世に伝える責務を負っている。


工 房
小柳箪笥

2015年 伝統工芸士認定

魅せられる家宝、越前箪笥の魅力を発信。

幼少時より木にふれ、精密な作り方に魅了されて木工職人の道へ。四代目として家業を受け継ぐ。世代を超えて残り、長いストーリーがある箪笥をどう未来へつないでいくかを日々考え、具現化し、広く伝えている。特に越前箪笥への想い入れは強く、“魅せる箪笥=家宝としての製造と発信に尽力、伝統の型を守りつつ、クリエイティブなものづくりを追求している。

カンナがけで削り出された木くず。切れずに薄く削り出すのはまさに職人技。

越前箪笥の特徴の一つである金具。面を整えるためのやすりがけは時間と根気がいる作業だ。


工 房
佐々木桐タンス

2015年 伝統工芸士認定

兄弟でものづくりを続ける幸せを実感。

総桐箪笥の美しさに魅せられてこの世界へ。以来、長年にわたり上品で美しい武生桐箪笥を作り続け、ベストな状態での納品をモットーにしている。桐箪笥を知り尽くしているからこそ、近年はリペアや再生なども手がけている。「長年、兄弟で仲良くものづくりを続けられることが何より幸せ」と、今後は次世代への技術継承の労も惜しまない。

一つひとつの作業は手際がよく、無駄がない。この長年培った技術が美しい桐箪笥を生む。

製作途中の桐箪笥が作業を見守る。その佇まいにも、どことなく品が漂う。


工 房
佐々木桐タンス

2015年 伝統工芸士認定

完璧を追い求め、真摯に向き合い続ける。

ものづくりに興味を持ち、兄の富康さんに誘われ、鍛えられて約50年。今も兄とともに武生桐箪笥製造に携わる。「ものづくりは面白いというより、100点に近づくために常に真剣、真摯に向き合っているという感じ。伝統工芸士の資格は頑張ってきたご褒美だと思っています」。兄と数多くの桐箪笥を手がけてきたその姿勢は、謙虚さと誇りに満ちあふれている。

50年続けてきた今でも完璧を追い求め続ける。ゴールがないのがものづくりの世界。

工房には兄弟の伝統工芸士認定証を並べて掲示。阿吽の呼吸で製作する二人を象徴しているよう。


工 房
PEaPA まつ井

2015年 伝統工芸士認定

使っていて元気になる本物の家具を届ける。

先代である父親の背中を見て、ものづくりの道へ。四代目として武生桐箪笥の技術を継承しつつ、「お客様に寄り添い、使っていて元気になる家具を作りたい」と、伝統的なスタイルだけでなく斬新なデザインも重視し、オーダーメイドにも対応する。10年以上前に吟味・選択した材料を使う越前箪笥の製作には、いつも以上の緊張感を持って取り組む。本物の家具を製作し発信するため、これからも完璧を求め続けていく。

部材の加工から組み立て、塗装、金具の加工まで、箪笥作りの全工程を一貫して行う。

木の性質は一本として同じものはない。それを見極めて職人技で一から作る箪笥だから、狂いは生じにくい。


工 房
唐木工芸 work of みはら

2015年 伝統工芸士認定

暮らしに密着した独自の家具作り。

ものづくりが好きで始めた父親である初代の下で修業。主に紫檀(したん)を使う唐木工芸のジャンルで、伝統的な家具はもちろん、現代のライフスタイルに合わせた家具や小物も製作する。「お客様との話からデザインをイメージして製作。たった一点でも部屋のポイントやコーディネイトできるアイテムになればうれしいですね」。色違いの木材使いや、コントラストを生かした家具の製作にも面白さを見出している。

唐木工芸とは、古くから唐(中国)より輸入されてきた紫檀や黒檀などを使って作る工芸品。

仕上げに漆を何度も塗って磨くことで、落ち着きある光沢が生まれる。長年使うことで経年変化も楽しめる。

私達は、伝統文化を継承しながら、限りある資源を大切に扱うものづくりを心がけ、またユーザーが愛着を持って使い続けることができるものを提供することで、持続可能な社会の達成に貢献していきます。